お粥を用いた年占いの神事は小正月の神事として全国各地に伝わっていますが、熊野神社の筒粥神事は天暦3年(949)より絶えることなく続けられ、今年で1074回を数えます。横浜市の無形民俗文化財にも指定されている古神事です。
熊野山縁起によると
「我は熊野権現也 来る14日の晩氏子集りて 営む所の耕作の品 27本の筒に印して 我が神木なる梛木の本に釜を据へ 筒と米と梛木の葉と相雑て 暫く煮て筒を破りて 其年の吉凶をかんがえよ 又当百八郷の総社と現はる氏子に 如意吉祥を施す事専一とする也」
とあります。
神事は古式に則り、境内に大釜を据え、午前四時に御神木の梛の木の五つ葉と27本の葭の筒とお米一升をいれます。そして、御本殿裏の「の」の池の御神水を加えて粥を炊きます。
27本の葭5つ葉の梛 |
のの池の御神水を加える |
午後二時、粥が炊き上がると、神事が開始され、宮司が大釜の前にて大祓詞を奏上し、九字を切って釜の中から葭が引き上げられ社殿に運びます。 そして、氏子総代立会いのもと、引き上げられた葭の筒を一本ずつ割って、その中に粥がどの位入っているかで吉凶を占います。 占うのは、 大麦 小麦 早稲(わせ) 中手(なかて) 奥(おく) ひえ 粟 大豆 小豆(あずき) 大角豆(だいかくず) ふんどう(緑豆) 麻 菜 大根 荏(え) ごま きび いも そば 霜粟(しもあわ) 夕顔(ゆうがお) かいこ 茶 といった24種の農作物、次に、毎年どよめきが起こる最後の四つの筒、 日 雨 風 最後に 世の中 その年の吉凶が占われます。古くは夕方に行われていたのですが、現在は午後2時から執り行われます。 |
![]() ![]() 宮司・総代立会いの元 葭を割る |
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神事が終わると、直会として大釜で炊き上がったお粥が振る舞われます。神様の御神威が入ったお粥ですので、これを食べるとその年は風邪を引かないと言い伝えられています。 |